電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第7回

(株)フジキン わざづくり(技術)部門 技術本部 副本部長 兼 ものづくり部門 製造本部 東北工場長 執行役員 田中林明氏に聞く(上)


宇宙向け高度技術を半導体に展開 製造装置向けIGSに特化

2015/10/16

 今年5月に創業85周年を迎えた(株)フジキン(大阪市北区芝田1-4-8、Tel.06-6372-7141)は、バルブや継ぎ手、マスフローコントローラー、集積化ガスシステムなど、流体を正確に制御する各種機器を世界中に展開している。同社製品の活躍のフィールドは、半導体だけでなく宇宙開発や原子力発電、石油化学、医薬・バイオ、食品、新素材など、実に幅広い分野にまたがっている。
 そんな同社も、岩手県奥州市に進出している有力企業の1つだ。2005年に同社初の東北での拠点として東北工場(奥州市江刺区岩谷堂字袖山11-31、Tel.0197-35-8701)を設立した。半導体製造装置向けの集積化ガスシステム(IGS)専用工場として、世界の半導体産業にとって不可欠な存在となっている。今回から2回にわたり、同工場を率いる田中林明氏に話を伺った。

 ―貴社のプロフィールを教えて下さい。
 田中 フジキンは1930(昭和5)年に創業した。当初は商社だったが、「世間に無い良いものを創って提供しよう」という考えのもと、メーカーに転身した。現在、半導体や様々な産業分野向けにバルブや継ぎ手などのながれ(流体)制御用製品を提供している。

 ―半導体製造向け製品に参入したきっかけは。
 田中 宇宙開発分野に適した、ごみの少ないバルブを手がけていたのがきっかけである。同じようにごみの少ないクリーンな製品を必要とする半導体分野からも注目を集め、参入することとなった。宇宙開発向けのクリーン技術で多くの実績を上げていたため、半導体へは比較的スムーズに水平展開できた。

 ―宇宙開発向け製品の高度な知見を半導体に活かしたのですね。
 田中 そのとおり。宇宙開発用では、常温下でも低温下でも漏れがなく、かつごみを排出しないクリーンなバルブが求められていた。当社はその要求を満たすバルブを開発し、NASDA(宇宙開発事業団、現JAXA)様の地上設備などに納入した。現状、種子島宇宙センターなどの地上設備におけるフジキンのバルブのシェアは約7割にも達している。その経験を活かし、82年に半導体分野向けに参入した。

 ―東北工場を設立したきっかけは。
 田中 05年にフジキン初のガスシステム専用工場として開設された。半導体製造装置用の集積化ガスシステムを開発・製造している。
 フジキンではもともと、大阪工場(東大阪、柏原)や筑波研究工場(茨城県つくば市)でモノづくりをしていたが、筑波より東の地域にも工場を設けてサービスを強化したいと考え、ちょうど10年前の7月に奥州市(当時は江刺市)に東北工場を設立した。現在は、東京エレクトロン(TEL)様向けのIGSを多く生産している。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2015年9月17日号3面 掲載)

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