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No.3

(株)エス・エス・シー 取締役 常務執行役員 清水長寿氏に聞く(上)


薄板鋼板コイルをスリット加工
トヨタ系部品メーカーに供給  トヨタ新生産戦略でさらなる増産を視野

2016/9/16

(株)エス・エス・シー 取締役 常務執行役員 清水長寿氏に聞く(上)
スリットコイルや鋼板、ベーリングフープなどを生産している関包スチール(株)グループの一員である(株)エス・エス・シー(愛知県海部郡飛島村金岡4、Tel.057-55-2250)は、2012年に奥州市に東北工場(岩手県奥州市江刺区岩谷堂字柳沢94-4、Tel.0197-31-1011)を開設した。トヨタ自動車東日本(株)の主要サプライヤー向けに、スリット(せん断)加工した薄板鋼板コイルを供給している。操業開始以来、順調に推移しており、今後もトヨタ自動車東日本(株)の新たな生産戦略を踏まえた増産を見込んでいるという。同工場の現況について取締役 常務執行役員の清水長寿氏に聞いた。

―― 貴社のプロフィールから伺います。
 清水 当社は、関包スチール(株)のグループの一員だ。関包スチールをはじめ新日鐵住金(株)、住友商事(株)、日鉄住金物産(株)の4社の合弁企業となっている。
 当社は、前記の新日鐵住金など高炉メーカーから供給を受けた薄板鋼板コイルをお客様のニーズに合わせたサイズにスリット加工し、トヨタ自動車東日本(株)系列の自動車部品メーカーに供給している。(株)エス・エス・シー本社のある愛知県のほか、グループ会社のエス・エス・シー九州(株)、そして当工場の3拠点において、トヨタ自動車(株)の国内3拠点と連動した事業所を展開している。
 
―― 奥州市に進出したのは最近ですね。
 清水 4年前の12年に進出した。もちろんトヨタ自動車東日本(株)の岩手工場が奥州市の隣の金ヶ崎町に進出し、それに伴って当社の直接の納入先である自動車部品メーカーが進出したことがきっかけとなったが、当初は奥州市ではなく別の地域に工場を設ける予定だった。岩手県と宮城県に工場を構えるトヨタ自動車東日本(株)、宮城県岩沼市にある関包スチール(株)東北工場と、薄板鋼板コイルの供給元である新日鐵住金の鹿島製鐵所(茨城県)、君津製鐵所(千葉県)からの経由地である仙台港や釜石港との位置関係を考慮し、宮城県北および岩手県南から、ある地域を選定していたが、11年3月11日の東日本大震災により進出予定地の地盤が弱いことが判明したため、進出地の変更を余儀なくされた。そこで様々な土地を調査した結果、奥州市の江刺フロンティアパークの地盤が強固であることが分かり進出を決めた。
 
―― 大変でしたね。
 清水 その時は苦労したが、震災の直後にもかかわらず短期間のうちに進出を決めたことで、奥州市から大変歓迎された。
 
―― 東北工場で生産するコイルは自動車向けですか。
 清水 99%はトヨタ自動車東日本(株)向けだ。とはいっても、トヨタに直接納めているものは少なく、多くは系列の部品メーカーに納入している状況だ。
 
―― 足元の業績と今後の見通しは。
 清水 操業開始以来4年が経過し、当初の事業計画からは若干遅れているが、順調に推移している。現在は、トヨタ自動車東日本(株)で生産中の「アクア」や「シエンタ」向けが中心だが、この秋からは、トヨタがトルコ工場で欧州市場向けに生産しているSUV「CHR」の国内市場向け生産が立ち上がる予定と聞いており、ますます忙しくなるだろうと期待している。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2016年9月8日号8面 掲載)

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