電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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No.6

(株)エイアンドティー 生産本部 江刺工場 工場長 近道英明氏に聞く(下)


新棟は17年8月末竣工
来年は大勝負の年 人財確保へ「地域限定社員」も

2016/10/7

―― 江刺工場(岩手県奥州市江刺区岩谷堂字松長根63-2)に新棟を建設する計画をもう少し詳しく教えて下さい。
(株)エイアンドティー 生産本部江刺工場工場長 近道英明氏に聞く(下)
 近道 これまで、お客様が欲しがっている製品を作ろうにも、場所の制約があり、チャンスを逃していた。そのため、思い切って新棟を建てて、生産規模の拡張に着手することにした。建設地は現工場の隣接地で、敷地面積は約1万2000m²、建築面積は約3650×2m²。既存工場よりもかなり大規模だ。
 具体的には2階建てで、1階は臨床検査試薬を製造するクリーンルーム、2階は臨床検査の装置・機械類を製造する工場を計画している。なお、1階の臨床検査試薬工場では、既存の湘南工場で製造している血液凝固や感染症の試薬などを製造移管する計画だ。この移管が完了すると、岩手県でも初めて体外診断用医薬品に対応した工場となる。

―― 建設スケジュールはどうなっていますか。
 近道 9月28日に起工式を行い、2017年8月末に竣工予定だ。

―― 拡張に伴って、人員も増やしますね。
 近道 30人程度を増員することとなりそうだ。この拡張により、今後はビジネスチャンスを逃がすことなく、お客様に対して新しい提案ができる。逆に「人がいないから、場所がないからできない」という言い訳ができなくなる。

―― 投資額はどの程度を見込んでいますか。
 近道 約17億円を見込んでいる。このほかにも、既存の湘南工場も含めた全社的な生産体制の再構築も計画している。

―― 貴社にとっては大きな転機となる投資ですね。
 近道 そのとおりだ。来年は大勝負の年となる。

―― ところで、奥州市に進出して良かった点は。
 近道 江刺中核工業団地や江刺フロンティアパーク内に進出している企業が集まって結成された協議会が素晴らしい。連帯感が強く、異業種の企業同士の交流も盛んで、当社も協議会内の他企業に影響を受け、トヨタグループの「カイゼン」への取り組みを採り入れており、工程改善研修会などに参加している。こうした企業間のつながりは大変貴重なものであり、これからも続けていきたい。

―― 地元出身の方を数多く採用されていると思いますが、「人財」に関する戦略を教えて下さい。
 近道 奥州市に進出以来、数多くの岩手県出身の人財を採用しているが、当社は若年層のローテーションにも取り組んでいる。適性を見て人財の最適配置を行っており、他地区に異動して活躍している人財もいる。ただ、採用には苦労しており、今後はパートの長期雇用を進めるほか、地域限定社員への登用なども進める必要があるだろう。
 当社は人も会社の財産と考え、人材ではなく「人財」と表記している。さらなる成長のうえでは人財は欠くことのできないものであり、大切にしていきたい。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2016年9月29日号8面 掲載)

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