電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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No.4

(株)エス・エス・シー 取締役 常務執行役員 清水長寿氏に聞く(下)


さらなる増設視野に
懇切丁寧な行政の対応に感謝 工業団地内の交流が盛ん

2016/9/23

―― 貴社で生産しているスリット加工の薄板鋼板コイルについて具体的に教えて下さい。
(株)エス・エス・シー 取締役 常務執行役員 清水長寿氏に聞く(下)
 清水 高炉メーカーから供給を受けた広幅の薄板コイルをスリッターラインでせん断加工し、製品コイルに加工している。
 
―― 製造ラインの特徴について。
 清水 自動化や省力化が進んだ生産性の高いラインを構築している。具体的には、せん断加工するための刃組をロボットが自動で行うラインだ。この刃組は、従来は人手で行っていたが、現在は自動化が進み生産性が上がっている。この自動刃組装置を入れたラインは全社で3基目になる。
 
―― 生産規模は。
 清水 2016年1~3月の実績では、ほぼ生産能力見合いで生産している。今後トヨタ自動車東日本(株)でSUV「CHR」の生産が立ち上がれば、その規模はさらに拡大すると期待している。人材を確保してシフトを増やせば能力アップが可能だ。ただしそうなると、製品のストックヤードが足りなくなるため、新たに確保する必要がある。
 
―― 増設のご予定は。
 清水 将来的には、それに向けたビジョンも持っている。
 
―― 従業員は現地採用が多いですか。
 清水 全12人中9人が現地採用となっている。地元出身の人材は、まじめで粘り強い方が多く、ものづくりに適しているといえる。
 
―― 奥州市に進出して良かったことは。
 清水 立地環境がとても良い。行政には大変良くしていただいており、大型トレーラーが出入り可能な交通環境が整っているうえ、当工場周辺の道路に冬場の物流に欠かせないロードヒーターを設置していただき、さらに除雪車も出していただいている。おかげで冬場でも支障なくコイルの搬出入ができている。また、東北自動車道へのアクセスも良好なうえ、日本海へ抜ける秋田道と太平洋へ抜ける釜石道の中間地点からも近いため、東北全体を視野に入れた事業展開が可能だ。
 立地助成金や雇用助成金、固定資産税減免、利子補給といった岩手県および奥州市の優遇策も、当社が進出している他県よりも手厚く、大変助かっている。このほかにも、市長はじめ市の職員の方に頻繁に足を運んでいただくなど、非常にきめ細かく懇切丁寧に対応いただいている。行政には引き続き、環境整備や人材確保などでご支援いただきたい。自動車産業のさらなる誘致も期待している。
 
―― 貴工場が進出している江刺フロンティアパークは、企業同士の仲が非常に良く、工業団地内の交流が盛んのようですね。
 清水 そのとおりで、工業団地内の企業で組織している協議会を中心に、様々なイベントを開催して交流を深めている。こうした企業同士の交流は、古くから進出している企業や行政の後押しのおかげであり、大変貴重な機会だ。これも奥州市に進出した賜物であり、大変ありがたい。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2016年9月15日号10面 掲載)

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