電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第39回

太陽電池と2次電池、「リユース」「リサイクル」必須の時代へ


2014/4/4

 太陽電池と2次電池にも「リユース」と「リサイクル」が必須となる時代が、すぐそこまでやって来ている。太陽電池に関しては、2011年12月に欧州において廃電気電子機器のリサイクルを義務づけるWEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment Directive)の対象に指定された。このWEEE指令では、14年初頭までに欧州各国で国内法制化することを求めている。欧州における法制化の動きは世界に波及しつつあり、日本も対岸の火事ではなくなってきている。

 太陽電池モジュールには、ガラスやアルミ、銀などの有価物や有害物が多く含まれるため、そのまま廃棄することは環境に悪影響を与える。そこで必要になるのがリサイクル(再資源化)だ。FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)をはじめとした補助金政策の恩恵を受けた太陽光発電の爆発的普及拡大は最近のわずか数年の話であるが、太陽光業界内では早くも「リサイクル」への対応が新たな課題となりつつある。

 日本では今後、FITの買取期間終了後に大きくクローズアップされそうな問題となるだろう。売電期間が終了したあと、何らかのかたちで発電事業を継続する事業者もいるだろうが、事業を終了する事業者も出てくると想像される。特に、メガソーラーのために土地を賃借している事業者は、売電期間終了後、再び更地に戻して返却することが契約上約束されているケースもある。

 その際、使用済みの太陽電池モジュールはどうなるか。その時点で、経年劣化で効率こそ落ちているものの、発電自体は可能なためリユースという選択肢もあるが、パネルの耐用年数は最大でも30年とされているため、廃棄を選択する事業者も出てくると見られる。廃棄を選択する事業者が増えれば、FIT開始から20年を経過する2032年あたりから廃棄パネルが大量に発生することが懸念される。いわば「2032年問題」と言ってもいい課題である。そのため、今から将来に備えてリサイクル技術を確立しておく必要がある。

 海外では、07年設立の欧州のコンソーシアム「PV CYCLE」が、不良品や使用済みモジュールの回収とリサイクルに着手している。すでに構成メンバーが800社を超えており、モジュールの集積ポイントは欧州全域の315カ所に達している。10~13年の累計で不良品や工事での破損品など7597tのモジュールを処理した実績を有する。

 太陽電池メーカー単独でも活発な動きが出てきた。米ファーストソーラーは、CdTe太陽電池の材料であるCdが有害物である点を踏まえ、05年からパネルの回収とリサイクル技術の開発にも注力してきた。リサイクルのフローは、回収したモジュールを細かく破砕、そこに溶液を噴霧して半導体層とガラスを分離し、半導体層の金属を分離精製して再利用するほか、ガラスも再利用するというもの。今後、日本にもリサイクル拠点を設ける可能性については「経済性で判断するが、今のところは米国に送ってリサイクルする可能性の方が高い」としている。


 このほか、ドイツのLoser Chemie社がCIGS型やCdTe型薄膜太陽電池からインジウムやガリウム、テルルなどを回収・リサイクルする技術の開発に注力している。同社は省エネ照明の蛍光体からレアアースを回収する技術にもフォーカスしており、研究開発サービスを提供している。

日本でも取り組み活発化へ

 日本では、秋田県と北九州市がリサイクル事業に名乗りを上げている。秋田県は、家電リサイクルやリサイクル製錬拠点形成事業、廃プラスチック利用新建材製造事業など様々なリサイクル事業を推進している経験やノウハウを活用し、09年から太陽電池のリサイクルシステムの研究にも挑んでいる。取り組み体制は、同県の資源エネルギー産業課が事務局、(財)秋田県資源技術開発機構が事業主体となり、東北大学、マテリアルリソーシング東北(株)(ガラスリサイクル担当)、山二建設資材(株)(使用済み製品回収担当)、(株)トワダソーラー(リユース担当)、DOWAエコシステム(株)(金属リサイクル・処分担当)、三菱マテリアル電子化成(株)(シリコンリサイクル担当)が実施者として参加している。

 北九州市は、西日本を回収対象にした「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」事業に10年から取り組んでおり、リサイクル処理技術の確立やリサイクルに向けた社会システムの構築を目指して活動中だ。(財)北九州産業学術推進機構を中心に北九州市、昭和シェル石油、新菱、みずほ情報総研、北九州市立大が参加しており、若松区の二島地区に実験設備を設置している。この設備はパネルを加熱処理してガラスや微量の銀などを取り出し、部品の95%の再利用を可能にするもので、17年ごろの実用化を目指しているという。

 回収から再資源化までをワンストップサービスで提供する民間ベースのサービスも始まった。一般財団法人太陽光発電システム鑑定協会は、使用済みのパネルを回収し再資源化するサービスを開始している。関連団体・企業と連携し、パネルメーカーや型式を問わず使用済み太陽光パネルを回収し、再資源化まで一貫して受託できる体制を整えている。枠組みは同協会が作るが、ガラスの処理はガラス再資源化協議会が受け持つほか、大手精錬会社などとも連携しているという。また、回収したパネルのうち、品質が良いものはリユースし、売上益は顧客に返還するなど、幅広く丁寧なサービスを実現していく。

 リユースにも動きが見られる。ネクストエナジー・アンド・リソース(株)は、システムインテグレーター事業と並行して、中古モジュールのリユース事業に注力している。具体的なリユース事業の流れは、中古品となった太陽電池モジュールを買い取り、性能評価したうえで製品の状態に応じて1~2年の保証を付加し、リユース品として販売するというもの。性能評価にあたっては、自前で揃えたソーラーシミュレーターなどの評価装置を駆使し、独自の評価システムにしたがって評価を行っている。

車載2次電池は再エネ向け蓄電池としてリユース

 2次電池でもリサイクル・リユース対応が加速している。三菱自動車、三菱電機、三菱商事の3社は、愛知県岡崎市の三菱自動車名古屋製作所内に設けたスマートグリッド実証実験施設「M-tech Labo」内で、EV(電気自動車)で使用済みのリチウムイオン電池を再生可能エネルギーの出力変動抑制用蓄電池としてリユースする実証実験を進めている。EVの走行には適さなくなった中古の蓄電池でも、供給が不安定になりがちな太陽光など自然エネルギー由来の電力の蓄積には十二分に活用できるとして実証に取り組んでいる。

 住友商事も、EVで使用した電池を再利用する世界初の大型蓄電池システムを開発、大阪市此花区夢洲に設置している。隣接するメガソーラー「大阪ひかりの森発電所」の出力変動抑制効果を測定すると同時に、EVリユース電池を活用し、大型蓄電池システムとして安全に運用する技術確立を狙う。

 さらに、東芝も車載で実績を上げている2次電池「SCiB」のリユースへの展開を模索している。長寿命という点でリチウムイオン電池よりも優れているSCiBはリユースにも適しているとし、車載以外の分野での再利用を視野に技術的検討を進めているもようだ。

 車載以外の2次電池においても、リサイクルへの動きが活発化してきた。住宅向けリチウムイオン電池を得意とするエリーパワーは、13年5月に環境省から室内用蓄電システム(パワーイレ、パワーイレ・プラス)の一般廃棄物および産業廃棄物の「広域認定」を取得したが、14年2月には「パワーイエ・シックス」についても追加認定を取得した。これにより、全国(沖縄を除く)で広域的に室内用・住宅用蓄電システムの回収・処理を行うことが可能となった。回収した蓄電システムからの廃部材は鉄や銅、アルミ、プラスチックなどに再資源化できる。

パワコンや接続箱、架台などのリサイクルも考慮すべき

 このように、太陽電池や2次電池のリサイクル・リユースに向けた取り組みは国内外で活発化している。ただ、注意すべきは、これら電池そのものだけでなく周辺機器、例えば太陽光発電システム用パワーコンディショナーや接続箱、架台なども当然、リサイクル・リユースの対象になりうるという点だ。これらも将来同じ課題に直面することは明白であり、リサイクル手法を早期に確立する必要がある。

産業タイムズ社 編集委員 甕秀樹

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