電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第73回

エルファンドリー CEO グンター・エルンスト氏


中長期で売上高10億ドル
300mm生産を検討、国内工場も視野

2014/4/25

エルファンドリー CEO グンター・エルンスト氏
―― 設立から7年目に突入しました。
 エルンスト 当社はルネサス エレクトロニクスのドイツ工場がスピンアウトして誕生した独立系ファンドリー企業だ。ミックスドシグナルICやCMOSセンサーなど先端プロセスを必要としないが、独自のノウハウが必要となるニッチ分野に特化して事業を進めてきた。売り上げ規模は2013年ベースで約2.5億ドルだ。

―― 現在の事業の中心は。
 エルンスト もともとはマイコンやミックスドシグナルICなどが多かったが、現在はCMOSセンサーが売り上げ全体の約9割を占める。これは米マイクロンテクノロジーの伊アベザノ工場を13年に取得したためだ。当社の生産拠点はもともとドイツ工場と10年に取得した仏ルッセ工場の2拠点だったが、その後に両工場を閉鎖し、現在はアベザノ工場に生産を集約させている。生産能力はおよそ月産4万枚とルッセ工場の2倍になり、拠点数は減ったが、能力的にはむしろ増えている。

―― アベザノ工場の生産状況は。
 エルンスト マイクロンから分離・独立したCMOSセンサー専業メーカーのアプティナ・イメージングの受託生産がメーンだ。しかし、今後はCMOSセンサー以外の受託ビジネスも積極的に取り込んでいくつもりで、すでにルッセ工場から生産プロセスの移管を完了している。

―― 具体的にはどのような分野を。
 エルンスト マイコンやパワーIC、MEMSなどが主要ターゲットだ。当社は単純に顧客から生産を受託するのではなく、プロセスを顧客と共同で開発することを基本スタンスに据えているため、この分野では有利に事業を進めることができると思っている。こうした分野を取り込むために現在は150nmと110nmのプロセスをラインアップしているほか、80nm世代の準備も進めている。

―― 80nmというデザインルールはあまり聞いたことがありません。
 エルンスト 80nmは当社独自のハーフノードプロセスで、90nmに比べてコストパフォーマンスに優れている。同プロセスでは、MEMSとCMOSプロセスの混載1チップ製品などの需要を取り込んでいきたい。

―― 将来計画について教えて下さい。
 エルンスト マイコンやパワーIC、MEMS分野を取り込んでいくことで、4~5年後には10億ドルの売り上げ規模に持っていきたい。この時には、現在9割近くあるアプティナ向けのビジネスを35%程度に抑えたいと思っている。また、生産能力の拡張も予定しており、新たに300mmラインの立ち上げを検討しているところだ。

―― 300mmプランの詳細は。
 エルンスト 新規で立ち上げる可能性は低く、既存工場の買収が前提で、パートナー企業とのJV(ジョイントベンチャー)形態もオプションの1つだ。現在、様々な可能性を検討しており、15年中には最終的な意思決定を行うつもりである。もちろん日本国内の300mm工場も有力候補の1つだ。

―― 国内市場に対する姿勢は。
 エルンスト 周知のとおり、日本の半導体産業は大手IDMを中心に、ここ数年で大きな構造変化があった。ファブレス/ファブライト化が進むなか、当社にとっても大きな事業機会が巡ってきていると感じている。セールスオフィスとなる日本事務所も12年末に開設し、営業活動を強化しているところだ。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年4月23日号1面 掲載)

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