電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第564回

ローレルバンクマシン(株) 次世代第2研究所 技術総括 繁田知秀氏


独自の8軸多関節ロボットを開発
複雑な動作と直動的な動作に対応

2024/2/22

ローレルバンクマシン(株) 次世代第2研究所 技術総括 繁田知秀氏
 ローレルバンクマシン(株)(東京都港区)は、通貨処理機のパイオニア企業として知られ、世界約80カ国にサービス提供の実績があるグローバルカンパニーである。「人と機械の新たな融合」をテーマに据え、新たな取り組みも進めており、その1つとして独自の8軸多関節ロボットを開発している。今回、その内容について、次世代第2研究所 技術総括の繁田知秀氏に話を伺った。

―― 貴社の事業について。
 繁田 当社は1946年の創業以来、通貨処理機の専門メーカーとして世界の通貨処理業務の効率化と進歩に取り組み、業界トップクラスの実績を誇る。一方で近年はキャッシュレス化などが進んでいることを受け、中長期的な視点による新たな事業の創出にも取り組んでいる。その1つとして通貨処理機の開発・製造で培った機械要素技術などを応用したロボットの開発がテーマとして持ち上がり、現在、5kg可搬の8軸多関節ロボット「xLobomo」(クロスロボモ)の開発を進めている。

―― xLobomoの特徴を教えて下さい。
8軸多関節ロボット「xLobomo」
8軸多関節ロボット「xLobomo」
 繁田 新たに開発した「xMotion」(クロスモーション)構造を採用している点にある。従来のロボットは2つのアームが回転軸で固定接続されているが、xMotionは2つのアームの交点に回転軸がある構造である。これにより多関節ロボットが持つ複雑な動作と、スカラロボットが持つ直動的な動作の両方に対応でき、ダイナミックかつ細やかな動きを実現できる。

―― そのほかの強みは。
 繁田 一般的な多関節ロボットは、アームの先端を少し動かす場合でも、関節の角度を大きく変えなければならない「特異姿勢」の問題があるが、スカラロボット的な機能も備えるxLobomoであれば、特異姿勢を回避して少ない動作で作業が行えるケースもあり、ティーチング作業の負荷も低減できる。そのほかにも、例えばピックしたものを後方に移す場合でも小さな動作で対応でき、その結果、ロボットの設置スペースもコンパクトにでき、従来のロボットであれば3台しか設置できないスペースでも、xLobomoであれば5台設置できる。また、ロボットの制御システムを当社においてゼロベースで一から構築し、ティーチングシステムも直感的・視覚的なものを開発しているため、ロボットシステムインテグレーターの方はもちろん、ロボットの熟練者でなくても使いやすいシステムとなっている。

―― 直近の取り組みは。
 繁田 2022年ごろから展示会などで実機を披露し、23年末に開催された「2023国際ロボット展」では約4000人の方にブースへ立ち寄っていただいた。コンパクトな動作、狭所作業での可能性、直動軸を活かした動作、小型ながら可動範囲が広いことなどを評価いただき、現在、様々な分野から引き合いをいただいており、そのなかで得られたご意見を反映しながら性能の向上を図っている。今後は7月4~6日に愛知県国際展示場で開催される「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2024」や、11月5~10日に東京ビッグサイトで開催される「第32回日本国際工作機械見本市」などへの出展を予定しており、こうした場を通じてxLobomoの特徴をぜひ感じていただきたい。

―― 今後の方向性を。
 繁田 現在、当社の通貨処理機器の製造現場における出荷検査など、社内での作業においてxLobomoを活用しており、24年度(25年3月期)から一部ユーザーとPoC(概念実証)などを進めながら、製品の本格展開や社会実装に向けた取り組みを加速していきたい。産業用ロボットがすでに活用されている領域や作業での導入だけでなく、従来の産業用ロボットでは適用が難しい作業、さらにいえばロボットが全く普及してない「ホワイトオーシャン」ともいうべき領域にも提案し、ロボットの裾野を広げ、通貨処理機器に続くような事業の柱にしていきたい。

(聞き手・副編集長 浮島哲志)
本紙2024年2月22日号9面 掲載

サイト内検索