電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第120回

旭硝子(株) 事業開拓室 太陽電池部材展開グループリーダー 灰岡章夫氏


超薄型ガラスを提案
Wガラスモジュールの普及支援

2015/5/8

旭硝子(株) 事業開拓室 太陽電池部材展開グループリーダー 灰岡章夫氏
 太陽電池(PV)モジュールの高耐久&高寿命化に向けて、PVセルを2枚のガラスで封止したダブルガラス(Wガラス)モジュールが注目されている。Wガラスモジュール向けに超薄型ガラスを提供している旭硝子(株)(AGC)の灰岡章夫氏に今後の事業展望を聞いた。


―― Wガラスの提案が近年増えています。
 灰岡 現在のPVモジュールは、表面をカバーガラス、裏面を樹脂性のバックシートで挟んだ構造が一般的だ。通常の設置環境ではこれでも支障はないが、今後、太陽光発電の導入が期待されているサンベルト地帯や高温多湿地帯、塩害地域などでは、さらなるモジュールの耐久性向上が求められている。表面だけでなく、裏面側もガラスにすることで、PVモジュールの耐久性や信頼性が大幅に向上する。

―― 使用するガラスの種類は。
 灰岡 一般的なPVモジュールのカバーガラスには、3.2mm厚の物理強化ガラスが使用されている。ただ、これを2枚使用した場合、モジュール重量が大幅に増加する。2.5mmや2mmといった薄型ガラスを使えば、ある程度は重量の増加を抑制できるが、それでもまだ重い。そこでAGCでは、Wガラスモジュールに最適な超薄型の化学強化ガラス「レオフレックス」を提案している。

―― レオフレックスの特徴は。
 灰岡 レオフレックスは、ガラスに含まれるNaイオンをKイオンに置換することで、強度が通常のガラスの5倍以上へと大幅に向上した。これによって1.1~0.8mmの薄型化が可能になった。一般的なPVモジュールのカバーガラスに使えば、モジュール重量を半減することができる。また、Wガラスモジュールでも重量増の心配はない。むしろ既存のPVモジュールよりも軽量化できる。軽量モジュールは施工性向上や輸送費削減につながり、PVコストの低減に貢献できる。

―― 信頼性も向上しますか。
 灰岡 両面をガラスで封止することで、モジュール内部への水の浸入を大幅に低減できる。また、化学強化ガラスはPVセルへのNaイオンの拡散を大幅に低減できるため、発電性能の低下要因となるPID(高電圧誘起劣化)を抑制することができる。

―― コスト増の心配はないですか。
 灰岡 この5~6年で、PV用ガラスの価格は大幅に下落している。現状、モジュールコスト全体に占めるカバーガラスの比率は5%前後だろう。
 もちろん、PVモジュールの製造コスト低減には、原料シリコン、ウエハー、セル、そしてガラスを含めた部材の各コストを継続的に下げていく努力が必要だが、例えばWガラスモジュールの場合、従来使われていたアルミフレームやバックシートが不要になる。モジュール全体のコストで考えれば、Wガラスモジュールでも大幅なコスト増になるとは考えていない。

―― 自社ブランドの軽量モジュールも開発しました。
 灰岡 レオフレックスを用いた超軽量モジュール「ライトジュール」を市場投入している。出力225W(54セル)で、重量はわずか9.5kgだ。耐荷重の足りない建物の屋根にも設置できる。これまでに培った建材ビジネスのネットワークを活用して、市場開拓に取り組んでいる。

―― Wガラスは今後のトレンドになるでしょうか。
 灰岡 Wガラスモジュールは耐久性、信頼性が高く、超薄型ガラスを使えば軽量化も両立できる。国内でも、すでにメガソーラーへの採用が始まっている。さらに、両面で発電するセルを使えば、発電量の増加も期待できる。
 国内外のモジュールメーカーでWガラスモジュールの開発が活発化しているが、AGCも超薄型ガラスを提案することで、Wガラスモジュールの普及を後押ししたい。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年5月7日号7面 掲載)

サイト内検索