2026年上期の新車販売は、各国におけるEV購入支援策の違いで、明暗が大きく分かれた。中国では26年1月から新エネルギー車(NEV)の購入税免除が半減されたことで、ガソリン車の販売減を補いきれずにマイナス成長を余儀なくされた。米国においても25年9月にEV補助金が撤廃されて以降、クリーンビークルの販売が減少。HVへのシフトが鮮明となるも、新車販売全体としては前年同期比で2%減のマイナス成長となった。
一方、欧州ではドイツやフランス、イタリアなどの主要市場において、政府による補助金に加えて、安価な小型EVなどが牽引し、主要31カ国合計の新車販売台数は前年同期比6.1%増の723.3万台とプラス成長で推移した。また、日本においては主要OEMから新型車の投入が相次いだことを受け、同1.8%増の238.7万台と堅調に推移した。
中国自動車工業協会(CAAM)によると、2026年6月の新車販売台数は前年同月比3.2%減の281万台、生産台数が1.2%減の276万台となった。前月比では、販売・生産ともに増加しており改善傾向にある。1~6月の累計では、販売台数が前年同期比4.1%減の1501.7万台、生産台数が同4.0%減の1499.3万台とマイナス成長としている。
NEVにおいては、6月単月の販売台数は前年同月比23.6%増の164.3万台と引き続き拡大。1~6月累計でも前年同期比7.3%増の744.6万台とプラス成長で推移している。なお中国では、工業情報化部など5部門が「2026年NEV下郷活動」を6月18日から開始し、農村部でのNEVの普及拡大を後押ししている。
米国の26年1~6月累計の新車販売台数は、前年同期比2.2%減の796.2万台となった。1~3月期は自動車ローン金利などの借り入れコストの増加や、関税による車両価格の高止まりなどにより消費マインドが冷え込み、マイナス成長で推移。4~6月期は富裕層の販売全体に占める割合の拡大や、新車ローン金利が低下したことなどもあり、前年同期から微増ではあるがプラス成長となった。また、1~6月期累計の新車販売台数をパワートレイン別で見ると、購入支援制度の撤廃などを受けてクリーンビークル(BEV、PHEV、FCV)は同27.5%減の56.1万台となった一方で、HVが同22%増の122.8万台となり、HVへのシフト傾向が鮮明となっている。
日系自動車メーカーの4~6月期販売動向
◆トヨタ自動車
4~6月期の連結販売台数は、中東情勢の影響や日野自動車の非連結化などにより、前年同期比1%減の239.5万台だった。地域別では日本、欧州、アジアでプラス成長としたものの、北米、その他地域でマイナス成長となった。トヨタ・レクサスの販売台数は、同4%減の255.2万台。このうち電動車(HV、PHEV、BEV、FCV)は同12%増の141万台と2桁成長で推移し、構成比率は55.3%と5割を超えた。
一方、26年度通期の連結販売台数は従来見通しから10万台引き上げ、970万台とした。地域別では北米、欧州での堅調な需要を反映したほか、その他地域では中東向け代替物流ルートの構築による販売回復を織り込んでいる。
現在、中国OEMによる海外攻勢(特にASEANなど)が続いているが、同社ではアジアのなかでの歴史ある販売ネットワークを強みに、QDRの優位性をアピールしてしっかりと取り組んでいく構えだ。
◆スズキ
グローバル販売台数は、25年のGST改訂依頼、継続して好調なインドや、需要の旺盛なパキスタンで台数を増やし、前年同期比19%増の89.7万台と2桁成長を記録した。
日本市場での販売台数は、同1%減の17.5万台で、軽自動車と登録車合計のシェアは2位を堅持した。なお、6月単月の販売実績では、軽自動車、登録車ともに前年を上回り、登録車は6月としては過去最高となった。インドでの卸販売台数は、GST改訂の追い風もあり、同33%増の53.5万台と好調に推移。SUVセグメントに加えて、小型車も大幅に販売を増やした。
インドを除くアジアでは、同28%増の6.2万台となった。特にパキスタンでは、低燃費で好評の「アルト」が販売を牽引するとともに、CKD生産が始まった「フロンクス」の販売も好調に推移した。
◆ホンダ
四輪車のグローバル販売台数は、同6%減の78.6万台となった。日本、北米、その他の地域でプラス成長としたものの、中国を中心としたアジアでの販売が同37%減と大きく減少した。なお、通期の販売台数は前回見通しから変更はなく、前年度比微増の339万台。地域別の販売台数も前回見通しを据え置いた。
米国市場では、ガソリン価格の高騰を背景に大型車からHVへの需要シフトがみられ、一部では競合他社からの流入も発生している。こうした需要変化がどの程度継続性のあるものなのかについては、詳細の分析を現在も進めている段階。
4~6月期の販売はHVを中心に計画を上回ったが、通期見通しは変更していない。7~9月期以降も当初の想定どおりの販売を確保でき、現在のガソリン価格環境が継続するようであれば、4~6月期で確認できた需要を今後の販売計画に織り込む可能性があると含みを持たせている。最大マーケットである米国については、年間全需は1600万台を想定。インフレに対する懸念は残るが、足元の需要は堅調に推移しており、26年は前年並みを見込む。
◆日産自動車
米国市場を牽引するピックアップトラック「フロンティア」
グローバル販売台数は、前年同期比1%減の70.1万台となった。主要地域別では、最大市場である北米が同4%増と堅調に成長、なかでも米国は同10%増の2桁成長で推移した。米国製のパスファインダーや、ピックアップトラックが前年から30%以上伸び、成長を牽引した。日本では、同1%増と前年並みとなったが、新型キックスがすでに1.1万台の受注を獲得するとともに、新型エルグランドも7月の発売から8000台以上の受注を獲得している。また、1~6月期の全体需要が前年同期より20%以上落ち込んでいる中国では、Nシリーズの新型車投入により、日産の4~6月期の販売は同7%増とプラス成長で推移している(上期では同15%減)。
なお、同社の4~6月期の販売は堅調だったものの、中国市場の落ち込みと中東の混乱を受けて通期の販売台数を従来計画の330万台から315万台に、また、グローバル生産台数を295万台から280万台へと下方修正した。
◆マツダ
4~6月期におけるグローバル販売台数は、前年同期比1%増の30.4万台となった。地域別では、日本、北米、欧州がプラス成長で推移、その他市場は中東情勢ならびに豪州におけるモデル切り替えの影響でマイナス成長、中国では全体需要が減少するなかで前年同期並みの販売台数を維持した。なお、同社では事業環境が目まぐるしく変化するなか、通期販売台数は前回見通しの132.4万台を据え置いた。
CFOのジェフリー・エイチ・ガイトン氏は、「今期の計画は次の3つを主な柱として進めている。1つ目は新型CX-5の成功裏のグローバル導入、2つ目はBEVの一部市場への成功裏の導入、そして3つ目はコスト削減だ。中東市場は重要な市場だが、販売規模は大きくなく、仕向け地を調整し利益影響を最小化する計画だ。4~6月期は、円安基調が継続したが、為替は変動が激しい。外部環境は変動が大きく注視が必要だが、自らコントロール可能な領域の取り組みを進めながら、変化に適応していく」と語った。
◆三菱自動車
4~6月期におけるグローバル販売台数は、日本でプラス成長としたものの、海外市場は軒並みマイナス成長となったことから、前年同期比8%減の17.9万台にとどまった。
日本では、底堅い需要環境が継続する中、デリカシリーズを中心に需要を着実に取り込み販売は前年を上回った。特に「デリカミニ」の投入を契機としたブランド力向上で、「デリカD:5」との相乗効果が生まれ、シリーズ全体の販売拡大につながった。
ASEAN・オセアニアでは、中東情勢の影響で前年から1.4万台減少。これに加えて燃料価格高騰を背景とした電動車シフトの加速や中国OEMによる価格攻勢などにより、競争環境は想定以上に厳しい状況となっている。
北米では需要環境は底堅いが、競争環境は引き続き厳しい状況が続いている。そのような中、主力モデルの「アウトランダー」や「アウトランダースポーツ」が牽引役となり、前年並みを確保した。
◆SUBARU
4~6月期のグローバル販売台数は、前年同期比10%減の22万台となった。BEVとICE車の混流生産開始に向けた改修工事の影響で、矢島工場の1ラインが1直操業となり、フル操業できなかったことが影響した。
主力市場である米国では、同12%減の15万台にとどまった。厳しい競争環境が継続する中、インセンティブの強化や価格改定を含めた機動的な販売施策の展開により、販売の勢いを維持。卸売販売は関税政策変更による需要への対応や、工場改修に伴う在庫積み増しの反動により減少したものの、小売販売では前年を上回った。
同社では今後、矢島工場においてBEVとICE車の混流生産を間もなく開始する。その後、徐々に稼働率を高めながら、フル生産体制へ移行する計画。混流生産へ移行後は、需要を最大限取り込みつつ、販売台数を拡大していく。
電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水聡