JX金属(株)(東京都港区)は、AIデータセンター関連を中心とした需要拡大に対応するため、半導体材料の生産能力を増強している。そのなかで光通信分野向けの結晶材料であるインジウムリン(InP)基板はデータセンター向けで旺盛な需要が続いており、生産能力をさらに強化している。現在の状況について常務執行役員 先端材料事業本部長の諏訪邉武史氏に話を伺った。
―― 足元の状況からお願いします。
諏訪邉 現在、InP基板については旺盛な需要に対して供給が逼迫している状況であり、需給ギャップが生じている。データセンターの市場が拡大しているなか、サーバーに使用されている光トランシーバーの需要が大きくが伸びている。
―― 需要が絶好調ですね。
諏訪邉 データセンターの拡大による需要の急増は予測したが、需要が予想以上の速いペースで増加しており、生成AIの急速な普及で、生成AI向けの高速通信に不可欠な要素としてInP基板の需要が伸びた。2025年までにはこのような要因が大きかったが、26年になって推論AIへの本格移行に伴い、さらなる高速通信が求められていることからInP基板の需要がさらに拡大しており、今後もサーバー市場の伸び率以上の成長を予想している。
―― 市場環境について。
諏訪邉 市場状況は、現在市場全体において旺盛な需要が続いていることから、各社とも増強計画を進めている状況と理解している。
―― 生産体制も強化しています。
諏訪邉 製造工場としては磯原工場ですべての工程を一貫生産している。25年度にはInP基板の増強計画を複数発表したが、すべて磯原工場の増強計画となる。直近の6月に発表した最大1200億円の設備投資については、磯原工場に加え、ひたちなか地区(茨城県ひたちなか市)にも新たに生産体制を構築する計画である。今後4カ年で投資を実施し、これまで公表した投資と合わせて生産能力を25年度比で最大10倍に引き上げる予定だ。
―― 売上高は。
諏訪邉 金額ベースでは発表していないが、数量ベースの伸び率でいうと24年から25年においては28%増、26年は前年比で13%増を計画している。現在フル生産状態であり、設備投資の効果も26年度の後半からになることから、27年度には前年度比でさらに増加すると考える。
―― 今後の事業計画について。
諏訪邉 まず、直近に発表した設備投資により製造能力を段階的に伸ばしていく計画だ。今回の非常に大きな需要の伸びに対応するためにサプライチェーン全体での連携を通じて今後の事業展開などを加速していく。そのほか、まだ実用化までには時間がかかるが、長期的な視点で、次世代候補の材料の研究開発も行っており、全体的な市場動向の動きも見つつ、今後の需要増に積極的に対応していきたい。
(聞き手・嚴智鎬記者)
本紙2026年10月8日号10面 掲載