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第223回

山下マテリアル(株) 代表取締役社長 山下博樹氏


医療・通信関連で旺盛な需要
17年は増産対応で大型投資

2017/5/26

山下マテリアル(株) 代表取締役社長 山下博樹氏
 山下マテリアル(株)(東京都品川区南品川3-5-13、Tel.03-3474-0611)は、電子・電気材料に関する情報収集力・マーケティング力という商社機能を持つ「エムシーカンパニー」と、プリント回路基板(PCB)の設計・製造から、電子部品・電子デバイスの実装、さらには電子機器の開発・設計・組立までに対応する「サーキテックカンパニー」という2つの機能を併せ持ったPCBの総合サプライヤーだ。山下博樹社長にビジネスの概況や今後の成長戦略などについて伺った。

―― 2016年度(1~12月)業績について。
 山下 16年度の売上高(全社ベース)は28億円強となり、増収増益を達成した。しかし、事業部別に見ると、サーキテックカンパニーは非常に活況であったが、エムシーカンパニーは低調に推移した。
 そこで、16年10月からエムシーカンパニーにおいて新たな中期経営計画を策定し、事業のさらなるてこ入れに取り組んでいる。
 例えば、「熱サゲリューション」として、放熱性に優れた材料・技術を提供している。この技術優位性にさらに磨きをかけ、付加価値の高いソリューションを今後も提供していく。また、モノづくりの上流(設計段階)からお客様と協業できるよう、提案力の強化も図っていく。

―― 16年度に好調だったPCB関連について、その背景は。
 山下 医療機器関連では引き続き旺盛な引き合いをいただいている。そうした状況のなか、世界の大手総合医療機器メーカー(海外拠点)からの大型案件がようやく量産段階へと移行し、16年度から本格的に売り上げに寄与することとなった。
 一方、クラウドサービスの普及によるメガデータセンターへの移行拡大などを背景に、通信インフラ関連での引き合いも大きく伸びている。競争が激しい領域でもあることから、当社の強み・市況を見極めながら市場の開拓に取り組んでいく。

―― そこで注目される製品・技術は。
 山下 このほど、新たに液晶ポリマーFPCの提供を開始した。数年前から関連材料メーカーとの協業で開発を進めてきたものだ。ポリイミドと比べて誘電率や誘電正接が低いため信号を減衰させず、高速伝送に適した製品となる。また、高耐熱性を有しており、鉛フリーはんだの手はんだ実装にも対応する。
 そのほか、特に医療機器向けで微細化が再び求められつつある。当社でも12/12μm(L/S)を視野に検討を進めている。

―― 設備投資計画は。
 山下 16年度は、医療機器関連の大型案件対応として、工程のボトルネックとなりやすいホットプレスや外形加工機などを中心に設備を増強するとともに、座間工場では人員を15年度比で約2割増員した。
 17年度も、さらなる増産投資を行い、旺盛な需要への対応を進めていく構えだ。下期の早い段階で露光装置ならびにエッチング装置などを導入する計画である。

―― 17年度の業績見通しについて。
 山下 好調だった16年度を上回る増収増益(全社ベース)を計画しており、特にサーキテックカンパニーでは2桁成長を目指し取り組んでいく。当社が強みを持つ医療機器・通信関連市場をさらに深耕するとともに、地域別では、海外からの引き合いも量産に結びつけられるよう、対応の強化を図っていく。

(聞き手・清水聡記者)
(本紙2017年5月25日号5面 掲載)

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