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第285回

X-FAB ジャパン(株) 代表取締役 兼 アジアパシフィック営業統括 瀧澤秀樹氏


日本顧客向けに車載用IC量産
フランス工場にプロセス移植中

2018/8/10

X-FAB ジャパン(株) 代表取締役 兼 アジアパシフィック営業統括 瀧澤秀樹氏
 独ファンドリー大手のX-FAB(エルフルト市、日本法人=横浜市港北区新横浜3-9-5、Tel.045-470-1275)がニッチファンドリー業界で存在感を増している。自社開発した高耐圧・アナログプロセスを武器に、車載向けで高成長している。フランス工場(旧アルティス)の取得や米国でのSiCのファンドリー事業拡大を受けて、2018年も快進撃を続ける。日本法人の瀧澤秀樹氏に今後の事業戦略などを聞いた。

―― 旧アルティスのフランス工場の買収など事業拡大が続きます。
 瀧澤 17年はフランス工場の買収や既存工場の高稼働率が寄与して、前年比13%増の5億8200万ドルを売り上げた。純利益も同倍増の9000万ドルと好調に推移した。足元も車載を中心に強い引き合いが継続している。

―― アプリケーションと地域別の売上構成比は。
 瀧澤 アプリ別では車載用途が44%と最大で、モバイル通信・コンシューマーが39%、産業機器13%、メディカル4%となっている。特に17年の車載用途は前年比19%増収となり、勢いが継続している。産業機器の売上高も同32%増となった。メディカルは75%も増収した。地域別では、ヨーロッパが最も大きく全体の56%となった。アジアは20%を占め、残りが北米だ。アジアでは携帯・民生向けが活発な中国が多く、残りを日本・韓国・東南アジアがほぼ同じく分けている。

―― ミックスドシグナルやMEMSデバイスなど、他の大手ファンドリーとは異なる受託ビジネスを展開しています。
 瀧澤 自社で独自開発した特徴あるプロセスを、アナログ・ミックスドシグナルに適した設計環境に合わせて顧客に提供するCOT(Customer Owned Tooling)モデルに注力している。SOIとバルクの両方で高耐圧、高温175℃保証対応、不揮発性メモリー混載を手がける。センサー向けには低ノイズのトランジスタやMEMSを提供できるニッチファンドリーとして、顧客から高評価をいただいている。

―― 生産体制について。
 瀧澤 ドイツには6インチでCMOSとMEMSに対応できるエルフルト、同じく8インチでドレスデン、MEMSのみ8インチのイツェホーの拠点がある。マレーシア工場は8インチラインで月産2万8000枚まで増強済みだ。車載向けの高耐圧やミックスドシグナル製品を中心に、ここ2年以上フル稼働状態が続いている。足元の受注状況を見ても、当面は繁忙が続く見通しだ。
 フランス工場も8インチの拠点で、月産3万5000枚を誇る。現在、マレーシア工場からプロセス移植を進めている。すでに民生・モバイル向けのプロセスは移植済みで、今後は車載・産業機器向けの高耐圧・高信頼性プロセスの移植に注力していく。

―― SiC受託事業にも乗り出しました。
 瀧澤 米テキサス工場で量産を開始した。国家プロジェクト「パワーアメリカ」との連携もあり、ラインを整備して6インチで月産5000枚の生産能力を確保した。SiCは本来の当社が注力するCOTとは異なり、顧客のプロセス移植を前提としている。

―― 日本のビジネス状況について。
 瀧澤 従来の民生・産業用途に加え、09年にリリースした車載向け0.35μm、11年リリースの車載向け0.18μmが量産に入ってきている。これらのアプリケーション製品は量産立ち上げに長い時間がかかったが、お客様の協力も得て量産にこぎつけた。エンジンルーム内のICの受託生産も行っている。
 日本の売上高はワールドワイドでみると、まだかつての消費税くらいの比率だが、現在の試作売上ベースでは日本が現在の消費税8%を上回る数字を計上しており、今後それらの試作が大きく売上増に貢献してくる予定だ。現在の試作のほとんどは、車載をはじめ産業機器、医療向けICとなっている。
 今後とも車載や医療、省エネ関連で当社技術の需要が見込まれるので、これらのデザイン・イン活動を強化していくつもりだ。

―― アジア全体もカバーする瀧澤さんから見て、日本市場の特徴は。
 瀧澤 私は中国や東南アジアなどアジア全体も受け持っているが、日本市場には産業の奥深さを感じる。装置・素材もあるし、ICを設計・製造・検査し、それを組み込んで最終製品まで完成させるユーザーを含めたエコシステムがしっかりできている。車載、産業機器、医療機器など高信頼性が要求される領域で一歩先を進んでいると思う。
 私はこの領域に強い日本の半導体産業を楽観視している。民生やメモリーで大量生産を追求している「中国製造2025」とは差異化がしっかりできていくと思う。当社もその領域で日本のお客様と長期のお付き合いをさせていただいて、共に成長していきたい。

(聞き手・副編集長 野村和広)
(本紙2018年8月9日号1面 掲載)

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