電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第291回

エイブリック(株) 代表取締役社長兼CEO 石合信正氏


22年度に売上高500億円目指す
社内外へ変化を発信

2018/9/21

エイブリック(株) 代表取締役社長兼CEO 石合信正氏
 エイブリック(株)(ABLIC)は、1月に社名をエスアイアイ・セミコンダクタ(株)から変更し、日本政策投資銀行(DBJ)が7割の株式を持つ筆頭株主となった。代表取締役社長兼CEOの石合信正氏に今後の事業展開などを伺った。

―― 新しい中期経営計画を策定されました。
 石合 DBJとともに新たな中経を練り直した。確実に実行し、3年後に結果を出すことを改めて大前提とした。重点施策として、(1)収益力の底上げ、(2)将来成長への種まき、(3)エイブリックの独立性・組織強化を実施していく。2018年度は得意とする分野や製品を洗い出す作業を進めていく。23のプロジェクトを立ち上げ、1つ1つの進捗チェックを毎月行い、これにより事業の底上げを行っていく。
 18年度の業績は17年と同程度の売上高330億円を想定している。以前は19年度に350億円を計画していたが、少し後ろ倒しになるだろう。ネガティブなことではなく、事業・製品の棚卸しをしてセールス&オペレーション体制を整え、これらをベースに19年には営業活動をさらに活発化させ、計画を実行していく。現状は準備段階にあるためだ。
 当社の売上高に占める海外比率は7割にも上る。半導体は投資がかかるが、DBJが掲げる「サスティナブル・グロース」を実現すべく、スピード第一に海外営業活動を強化していく。

―― 4年後に売上高500億円を標榜しています。
 石合 18年度は準備の年、19年から成長への準備を加速し、20年度までにIPOが可能な社内環境を整え、22年度には売上高500億円を目指す。既存のビジネスのほか、新しい技術のクリーン・ブースト製品が早期に業績に寄与するよう進めていく。
 クリーン・ブーストとは電池レス無線TAGの技術で、1μWを30mWへ増幅する技術だ。現在複数の案件が進んでおり、近々に事業化するものもある。

―― 売上高における製品構成比率は。
 石合 電源ICが全体の6割を占め、このうち6割がリチウムイオン電池向け保護ICだ。EEPROMが全体の2割、センサー・ホールIC、その他が2割となっている。売上高に占める車載向け製品の割合は20%を占める。車載分野には引き続き注力し、22年度には30%まで高めたい。

―― 生産体制やM&Aについて。
 石合 前工程は高塚事業所(千葉県)で、生産能力は6インチウエハーで月産2万~2.5万枚、プロセスノードの中心は0.6~0.35μmで、フル稼働状態が続いている。外部委託のほかテスト機を増設したり、性能を向上させるなどでスピードアップを図る。後工程は秋田事業所(秋田県)で担うが、こちらにも新しいテスト機を導入して効率化を図っていく。18年度の設備投資は更新投資が主で、30億円程度を計画している。
 M&Aについては、補完することを前提に、身の丈に合った規模で進めていく。また、6月に実施した東芝デバイス&ストレージ(株)との協業のような取り組みは今後も積極的に行っていく。

―― 抱負について。
 石合 とにかく、エイブリックになって「変わった!」ということを印象付けたい。21年には企業認知度50%達成を目指しており、様々なコマーシャル活動を行っていく。その一環で、秋田県のプロバスケットチームのスポンサーになったり、花火で世界進出を目指す同県大仙市の「大曲の花火」の年間スポンサーになった。
 また、対外的な活動だけでなく、変わったことが実感できるよう、社内の取り組みにも力を入れている。働くモチベーションを高めるためには、活き活きとしていることが大事。社員には「会社が楽しい!」と思って働いてほしい。明るく元気でオープンな風土を感じられるようにしたい。
 例えば、社内では制度を変え、将来自分がどのポジションに進みたいか、(1)フェロー、(2)マイスター、(3)ゼネラルマネジメントの3つの道を用意した。これまでは、また通常の日本の企業では、目指す姿が(3)しかなかった。これを(1)と(2)の選択肢も用意し、途中変更も可能にしている。私自身は「アナログ半導体企業で一番面白い社長」になりたいと思っている。

(聞き手・澤登美英子記者)
(本紙2018年9月20日号1面 掲載)

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