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第318回

三菱電機(株) ロボット製造部 ロボットテクニカルセンター長 荒井高志氏


新規格対応の製品を5月から展開
ロボットのAI・知能化を強化

2019/4/5

三菱電機(株) ロボット製造部 ロボットテクニカルセンター長 荒井高志氏
 三菱電機(株)(東京都千代田区丸の内2-7-3、Tel.03-3218-2111)は、FA関連製品で世界トップクラスのシェアを有し、産業用ロボット製品についても幅広い用途・市場で採用されている。直近はロボットのAI・知能化を推進しており、関連製品の強化を図っている。今回、産業用ロボット分野の取り組みについて、ロボット製造部 ロボットテクニカルセンター長の荒井高志氏に話を伺った。

―― 2018年度(19年3月期)におけるロボット製品の需要動向について。
 荒井 好調だった17年度の勢いを継続するかたちで18年度前半は堅調に推移した。しかし、18年秋以降、米中貿易摩擦の影響で中国における設備投資が減速し、スマートフォンをはじめとした電機・電子分野での投資も弱含みで推移している。その一方で、欧州や日本市場は自動車関連を中心に引き合いが増えており、こういった状況を総合すると18年度は17年度に比べてほぼ横ばいで着地したと見ている。

―― ロボット製品の生産は。
 荒井 従来は名古屋製作所(名古屋市東区)だけで生産していたが、中国におけるFA機器の生産拠点「三菱電機自動化機器製造(常熟)有限公司」(中国・常熟市)において、ロボットの生産ラインを整備した。18年6月から試験生産、同年7月から本格生産を開始しており、当社における産業用ロボットの生産能力を16年度比1.5倍に引き上げた。

―― 開発面では。
 荒井 ロボット導入の敷居を下げる知能化・高機能化に関する取り組みを進めており、その1つとして機能拡張オプションの「MELFA SmartPlus」(スマートプラス)の拡充を図っている。コントローラーに専用のカードを差し込むことで機能を簡単に追加できるもので、ビジョンセンサーのキャリブレーションが簡易に行える機能や、AIを活用した3次元ビジョンセンサーのパラメーターの自動調整など、ロボットに慣れていない作業者が熟練者並みのレベルで簡単調整できる機能などを展開している。スマートプラスを活用することで、コピーセル構築や各種センサーを使用した高度な組立ラインの調整などが簡易に行え、トータルコストの低減などにもつながる。今後も予防保全や力覚センサーとの連携機能などラインアップを強化していく考えだ。

―― ロボットに搭載する電子デバイスについて。
 荒井 知能化が進むロボットの機能を最大限に活かすために、精度の高い情報を取得することが重要となっており、それに伴い、ロボットシステムにおけるセンサーの重要性も高まっている。また、処理能力の高いチップの必要性も高まっているが、コストや発熱などが課題として浮上しており、こういった課題の解決につながるデバイスがあればありがたい。
 そのほか、ロボットに搭載する電子デバイスではないが、近年ロボットを組立工程に用いるケースが増えるなか、電子デバイスがロボットで取り扱いやすい形状ではなく、組立システムのコストが上昇することがある。ロボットによる組立を想定した電子デバイスが増えるとロボットの活用範囲がさらに広がるだろう。

―― 産業用ネットワーク技術関連でも新たな取り組みを進めていますね。
 荒井 次世代産業用オープンネットワーク規格「CC-Link IE TSN」に対応した製品を5月から展開していく。同規格はCC-Link協会が提唱するイーサネットベースの産業用ネットワークで、TCP/IPや他のネットワークと同一幹線上で混在できるTSN(Time Sensitive Networking)技術を採用し、従来比16倍の超高速・高精度通信に対応できる。当社では、同規格に対応したFA製品102機種を開発しており、スマート工場の実現に向けた新たなロボットシステムの構築に大きく貢献できる技術だと考えている。

―― そのほか注力されていることは。
 荒井 安全柵なしで使用できる人協働型ロボットの開発を進めている。ビジュアルティーチングやダイレクトティーチなどを用いて、三品産業や物流分野といったロボットをあまり活用したことがないユーザーでも簡単に使える仕様にする予定で、19年内の市場投入を予定している。
 また当社では、2月にインドにおける6カ所目のFAセンターとして「インド・コインバトールFAセンター」(タミル・ナードゥ州コインバトール)を設立。また、フィリピンにおいてグループ会社の(株)セツヨーアステック(大阪市北区)や現地販売代理店のIFA社(Integrated Factory Automation)と連携し、FA製品の販売会社を5月に設立する予定であり、こういった拠点を活かし、インドやASEAN地域でのロボット製品の拡販にも取り組んでいきたい。

―― 19年度の見通しを。
 荒井 中国市場の停滞感や電機・電子分野における設備投資の減速はあるが、ロボットを活用した製造ラインの自動化/省人化に関する引き合いは依然として強い。当社としてはスマートプラスや当社のFA製品などを活用し、トータルでの提案力を高めていくことで、19年度は前年度を超える売上規模を達成し、20年度には以前より目標として掲げている16年度比2倍以上の事業規模にすることを目指す。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2019年4月4日号9面 掲載)

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