電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第325回

JEITA 半導体部会 部会長 上田康弘氏


半導体は社会や国の核心を成す
連携促進でSociety5.0を実現

2019/5/31

JEITA 半導体部会 部会長 上田康弘氏
 電子情報技術産業協会(JEITA、東京都千代田区大手町1-1-3、Tel.03-5218-1050)は385社が加盟している電子業界団体である。現在会員数は増加傾向にあり、Society5.0の実現に向けて、人材や製造など多岐にわたる業界内の共通的課題を解決するために活動している。今回は同団体にあって“半導体は社会や国の核心を成す”との意見を持つ半導体部会長の上田康弘氏に話を伺った。

―― 半導体部会の現状は。
 上田 現在51社で構成されており、ソニーや東芝、ルネサス、富士通などの日本半導体を作り上げてきた企業も参加している。外資系企業も入会しており、マイクロンメモリ・ジャパン、日本サムスン、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社などがそれである。半導体以外ではパソコン周辺機器メーカーのバッファロー、宇宙開発のHIRECなどがある。

―― JEITA全体でみると異業種が参入していますね。
 上田 JEITAの改革の一環として、2017年5月に会員に関する定款を変更し、IoTに関わる会社ならば入会できるよう門戸を広げた。新たに入会した企業には、例えば大手旅行会社のJTBや警備会社のセコム、大手ゼネコンの竹中工務店、保険会社の損害保険ジャパン日本興亜などがある。JEITAの事業方針であるSociety5.0の実現には、異業種との連携による相乗効果が必要なのだ。

―― Society5.0とは。
 上田 IoTが実装された社会(超スマート社会)のことだ。サイバー空間と現実空間との連携・融合により、社会全体の最適化がもたらされ、新たな価値が生まれる。これを実現するためには膨大な量の半導体が必要となるため、今後半導体業界の重要性はより一層増してくるのである。

―― 半導体部会の具体的な活動とは。
 上田 日本半導体のプレゼンスを高め、構成会社のビジョン達成のための活動を行っており、研究・教育機関への啓発活動、標準化、BCPなど、テーマは多岐にわたる。昨今は混沌とした社会情勢を受けて、WSCなどの世界半導体業界間の国際協力などが重要となってきた。今後はJEITAの電子部品部会やSEAJ(日本半導体製造装置協会)との連携も提案していきたいと考えている。

―― 半導体業界の課題とは。
 上田 一番は人材問題だ。半導体産業に従事する人が減少しており、大変危惧している。新卒に対する取り組みはもちろん、今後は現在半導体業界で働いている人たちがキャリアチェンジできる仕組みが必要になってくるだろう。
 半導体部会としては、半導体業界をよく理解してもらえるように、九州の高等専門学校で講演を行った。今後は全国展開していく予定で、優秀な人材にまずは半導体業界を知ってもらえるよう活動している。

―― 半導体は社会の根幹ですね。
 上田 半導体は社会や国の核心を成すものである。今日におけるネット社会を作り上げた最大の主役はやはり半導体であり、スマートフォン、デジカメ、DVD、有機ELテレビなども半導体の進展なくして生まれなかった。
 世界的に一大ブームを巻き起こしているゲームの世界もまた、多くの半導体が必要になる。次世代自動車についても、搭載される半導体は10倍になるといわれ、技術のコアを占める存在になっている。もちろん、日本企業が得意とするセンサーの世界も半導体技術に裏打ちされているのだ。

―― 官民一体となった半導体開発製造も必要ですね。
 上田 そのとおりだ。かつての超LSI技術研究組合の成果は大変なものであり、1980年代に日本が半導体の世界シェアトップを取る原動力になった。いわば技術力で世界の先頭に立っていたのだ。
 今後は半導体の事業としての成否だけではなく、半導体はSociety5.0の社会を支える、国の核心を成すものであるという基本方針のもと、あらゆる人の知恵を集め、政府も民間も一体となって、超大型の最先端半導体開発に必要な施設整備が望まれているのではないだろうか。

(特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2019年5月30日号3面 掲載)

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