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第379回

TDK(株) 電子部品カンパニー 製品戦略推進統括部
アルミ&フィルムキャパシタ日本 PM部課長 門倉正知氏


ハイブリッド電解コン商品化
アキシャル形で車載に貢献

2020/6/19

TDK(株) 電子部品カンパニー 製品戦略推進統括部 アルミ&フィルムキャパシタ日本 PM部課長 門倉正知氏
 TDK(株)(東京都中央区日本橋2-5-1、Tel.03-6778-1000)は、アキシャルリード形の車載向けハイブリッドポリマー電解コンデンサーを製品化し、量産販売を開始した。同製品の特徴などについて、電子部品ビジネスカンパニー製品戦略推進統括部アルミ&フィルムキャパシタ日本PM部課長の門倉正和氏に話を聞いた。

―― 従来品と新製品の差別化ポイントについて。
 門倉 従来のアルミ電解コンデンサーは、静電容量が大きい、漏れ電流が低い、耐電圧が高いなど利点がある一方で、内部に有機性電解液を用いているため、寿命に課題があった。また、導電性固体コンデンサーは固体素子を使うため寿命を気にせず設計でき、内部抵抗も低いなどの利点があるが、容量が小さい点が課題である。
 今回の新製品には、この両製品の良いところを取り入れた。特にリップル耐量が電解コンデンサーと比べ高いため、より高い電力に対応できる点が強みとなる。寿命も125℃で4000時間を実現する。ただ、若干耐電圧が低い。それでも100V程度まで可能であり、欧州で広がりつつある48Vマイルドハイブリッドなどに十分適用できる。

―― 用途はモーター周りですか。
 門倉 モーターの動力系に直結するアプリケーション、特に48V系は筆頭に上がる。48V系の電動ターボチャージャー、電動ファンモーター、電動オイル/水ポンプなど高いパワーを擁するアプリケーションに今回のハイブリッドポリマー電解コンデンサーを用い、それ以外の低パワー部分には従来の12V系対応のアルミ電解コンデンサーを用いるかたちが欧州で広がっている。インバーターの平滑回路への応用では、パワー半導体に供給する電源を平滑化し、効率よくモーターを回転させる一助を担う。

―― アキシャルリード形は珍しいですね。
 門倉 電解コンデンサーには色んな形態があるが、メーンはラジアルリード形であり、市場の5割程度を占める。一方、今回当社がリリースしたアキシャルリード形は約1%程度のニッチ製品の位置づけだ。それ以外では、ねじ端子形、基板自立形などがある。

―― その特徴は。
 門倉 使用比率の高いラジアルリード形との最大の違いは内部構造にある。電解コンデンサーの中身は陽極箔と陰極箔。これを電解紙で丸め込んで素子を作る。その際、ラジアルリード形は外部リード電極と内部リード電極が一体型のため、振動が発生した場合、内部に直接振動が伝わり、内部破壊やリード電極とアルミ箔の接続部に機械的なストレスが発生する。しかし、アキシャルリード形は内部タブと外部リードが独立しており、ケース内で溶接することで電気的接続する構造である。そのため、外部振動がリードを介して内部に伝わりにくい。
 また、複数のタブを用いて箔と接続できるため、ESRの低減も図ることができる。マルチタブ設計により、ラジアルリード形に比べ、最大50%のリプル耐量が実現する。さらに、放熱設計にも優れる。ケースの絞りにより内部素子とアルミケース間の熱伝導性を高めコンデンサーの熱抵抗抑制を実現し、リップル電流が約10%向上した。これが長寿命の肝でもある。複雑な構造により小型化に不向きな一面もあるが、車載向けには利点が多い。

―― 製造拠点について。
 門倉 電解コンデンサーの事業本部はドイツのミュンヘンにあり、製造のメーン拠点はハンガリーのソンバタイ工場(2万3000m²)である。今回のハイブリッドポリマー電解コンデンサーも同工場で生産している。なお、ハンガリー以外の電解コンデンサーの生産拠点は、中国のアモイ工場(2万7700m²)、ブラジルのグラバタイ工場(4万m²)だ。

―― 今回の新製品について展望を。
 門倉 自動車の電動化に伴い、従来の電解コンデンサーではパワー半導体への電源平滑化が間に合わないケースがあったため、今回のハイブリッドポリマー電解コンデンサーの需要は高まるとみている。すでに量産を開始しており、まずは欧州のティア1を中心に動き出している。20年度は年間100万個規模で量産を予定しており、21年度にはこの10倍規模へ高めていく。
(聞き手・高澤里美記者)
(本紙2020年6月18日号2面 掲載)

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