電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第412回

野村マイクロ・サイエンス(株) 代表取締役社長 八巻由孝氏


売上目標300億円前倒しで達成
半導体向け超純水が82.9%占有

2021/2/12

野村マイクロ・サイエンス(株) 代表取締役社長 八巻由孝氏
 「超純水技術を駆使して、人と水の未来を拓く」をキーワードに高成長を続けているカンパニー、それが野村マイクロ・サイエンス(株)(神奈川県厚木市岡田2-9-8、Tel.046-228-3946)である。2021年3月期の第2四半期には前年同期比40.8%増という売上高を上げ、営業利益に至っては同323.3%増を達成するというすさまじさであった。東京証券取引所の第2部に上場しており、勢いに乗る同社を率いる代表取締役社長の八巻由孝氏に話を伺った。

―― 23年までの中期経営計画を掲げていますね。
 八巻 経営ビジョンとしては、高純度化技術が筆頭に挙げられる。世界水準の超純水製造技術と分析技術を駆使し、半導体&FPD工場に装置を納入してきた。今後は超微量分析技術に磨きをかけ、最高水準をさらに追求していく。また、地球環境を守るための関連製品に、超純水製造で培った技術を横展開してチャレンジしていく。健康サポートも重要であり、製薬工場向けの注射用水や精製水設備を通じて、人々の健康に貢献していきたい。

―― 売り上げ目標を何と3年前倒しで達成されましたね。
 八巻 これには驚いているとともに、今後もより良い製品とサービスをお客様に提供していきたい。19年度に210億4900万円だったが、20年度通期売り上げで300億円を突破し、23年度の目標金額をクリアすることになりそうだ。業種別連結売上高を見れば、直近では半導体が82.9%を占めており、非常に強いものがある。さらに、地域別売上高を見れば、日本が35.8%、韓国が33.8%、中国/台湾が30.1%となっており、各エリア別に約3分の1と非常にバランスがよい。今後もこの偏りのない構成比率を維持し、営業利益率10%も保持していく考えだ。

―― 研究開発や設備投資については。
 八巻 研究開発は売り上げの1%程度である。しかしながら、常に新しいものにチャレンジするという姿勢は持ち続けている。製品領域拡大で言えば、機能水製造装置に注力しており、事業領域拡大で言えば国内や海外の半導体排水処理や回収などにも注力している。設備投資について今年度は2億5000万円程度を見込んでいるが、基幹シテムの更新投資が中心である。当社は研究開発型企業であり、協力会社に製造を依頼するケースが多いだけに、大きな設備投資はない。

―― 女性力の活用については。
 八巻 現状で人員は450人となっているが、女性比率は20%くらいである。もちろん、女性の活躍する機会は拡大していく。女性課長は1人いるが、今後も女性管理職を増やす方向にある。また当社の技術部門、特に開発や分析には言うところのリケジョが必要であり、こちらの確保も大切だと思っている。さらに、こうした状況下においては、男女を問わず優秀なエンジニアを確保できなければ事実上、売り上げを伸ばすことはできない。

―― 営業拠点の拡大については。
 八巻 仙台、埼玉、厚木、名古屋、大阪、福山、福岡、熊本などに営業拠点を展開してきており、10月に広島に新拠点を開設した。米国、韓国、中国、台湾にも営業拠点を持っているが、国内外ともにお客様のニーズをよく見たうえで営業拠点を増やしていく考えだ。

―― 半導体産業は今後も急拡大していきますね。
 八巻 データセンター投資がリード役となっており、拡大は著しい。この好調な半導体拡大の波に乗り遅れることなく、積極的な受注活動を推進していく。地域特性を十分に把握し、採算面重視を考慮した案件選択およびメンテナンスの強化に取り組みたい。当社の技術を活かした半導体関連商品への対応も徹底的に強化していく考えだ。
 ただ、米中貿易摩擦、日韓問題、新型コロナウイルス感染拡大など不透明な要素もかなりあるわけであり、時代の趨勢を見抜く分析力と、正確な情報を手に入れるための努力が必要不可欠となってくる。

―― 部下に対して示唆していることは。
 八巻 本業の成績に加え社会貢献と地球環境貢献を強く言っている。企業は利益追求だけにとどまっていてはいけない。いつでも人間にとっての幸福とは何か、を命題にしなければならない。また、半導体プロセスについては、ある工程のところを得意としているが、他の工程に向けてシーズの探求も必要であり、そのための水の活用をきっちりと追求していくべきだ、と示唆している。


(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2021年2月11日号1面 掲載)

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