電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第535回

ヌヴォトン テクノロジージャパン(株) 代表取締役社長 小山一弘氏


売上高1000億円超え2年連続黒字
グループ連携加速で事業拡大

2023/7/28

ヌヴォトン テクノロジージャパン(株) 代表取締役社長 小山一弘氏
 パナソニックの半導体事業が2020年に台湾のヌヴォトンテクノロジーコーポレーション(NTC)傘下となって発足したヌヴォトン テクノロジージャパン(株)(京都府長岡京市)。新スタートから約2年半で注力製品の拡大やグループシナジーの創出など、着実に成果を上げている。代表取締役社長の小山一弘氏に話を聞いた。

―― 設立後、人員を大幅に増やした。
 小山 20年9月の設立から23年4月までに、新卒・キャリア採用で合計約280人増員した。半導体産業の人材獲得難が問題になっているが、当社が台湾企業のグループであることに対する期待は高く、デバイスメーカーやセットメーカー出身者が多く集まっている。また半導体の市場プレゼンス向上は学生の半導体への関心を高め、大学からの講義依頼も増えた。そのような機会を通じて当社を知り、インターンシップの学生も増えている。パナソニックから引き継いだワークライフバランスやチーム重視の社風と、台湾企業の特徴である新しい取り組みへの積極性が好評を得ている。事業拡大に向け、さらなる人員強化を目指したい。

―― 横浜にも新拠点を設けた。
 小山 22年5月、新横浜駅前にデザイン&セールスセンターを開設した。関東圏の顧客に対するサービスやサポートの充実を図るとともに、人材獲得強化の役割を担う。

―― 足元の業績について。
 小山 22年度の売上高は前年度比11%増の1027億円(国内単独)となり、1000億円を突破した。営業利益も2年連続の黒字を達成した。販売の増加や為替影響、商品ポートフォリオの改善が奏功し、部材価格の高騰によるマイナス影響をカバーした。23年度は厳しい市況を見込んでいるがプラス成長の継続に向けて取り組む。

―― 具体的な取り組みを。
 小山 台湾が先行するデータ活用技術や情報収集力、販売力と、日本の技術力、信頼性、モノづくりのノウハウを組み合わせて事業成長を最大化する。市場トレンドを捉えるため北米でマーケティング機能の強化を進めており、サンノゼの拠点を拡充するとともにデトロイトに新拠点を開設した。また、新規顧客の開拓とデザインイン推進のため、NTCおよびウィンボンドも一体となったグループでの展示会やウェビナー開催を行っている。さらに代理店との連携強化、新規パートナーの拡大も進める。グループの情報をデータベース化して分析し、顧客ニーズを的確に捉えて新製品の提案につなげていく。

―― 製品開発については。
 小山 当社はNewエネルギー、スマートモビリティー・ロボティクス、スマートライフを注力分野としている。具体的には、電池や高速インターフェース向け開発に注力している。うち電池向けにはプラズマディスプレーに使用する高耐圧半導体技術を応用したBMICを10年以上前から提供しているが、電気自動車(EV)市場の拡大に伴い電池の残価値診断ニーズが高まっている。電池の2次利用において重要であり、また、中古EVの価値決定などで必須になるためだ。従来手法では電池の残価値診断に大型設備が必要であり、また、長時間を要していた。当社はBMICに機能を内蔵する技術を開発し、短時間での診断を可能とする。22年に自動車メーカーと精度検証を行い、23年には技術の確立を目指している。その後、実車両での検証を進めて25年以降の製品化を目指す。
 一方、高速インターフェースではUSB4向けのリタイマーICを開発し、23年度の発売を予定している。高速大容量通信で問題になっていたケーブルの伝送ロスを抑制でき、e―Marker内蔵により急速充電の安全性向上や、細く、柔らかいケーブルの実現に貢献する。

―― 設備投資の戦略は。
 小山 北陸の製造拠点で生産増強を実施しており、120億円規模の投資を決定する予定だ。

―― NTCグループにおけるシナジー創出について。
 小山 NTCはコンシューマー向け比率が高かったが、当社が加わったことで車載や産業用の比率が高まり、グループの製品バランスが良化している。相互の顧客の紹介や製造プロセスの活用、工場の共有によるBCP・供給の安定化といった取り組みを進めている。また、開発におけるIPや設計環境の共有による効率向上や、IT活用により市場や顧客動向、また販売データなどの収集した情報を四半期単位での戦略アップデートに反映することで、メガトレンドを先取りし、顧客要望に対応していく。ポストコロナで人の往来が回復したことで、さらにシナジー創出を加速してグループ力を最大化させたい。

(聞き手・副編集長 中村剛)
本紙2023年7月27日号4面 掲載

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