安捷利美維電子(厦門)有限責任公司(AKM Meadville Electronics(Xiamen)Co., Ltd.)は、中国のHDI(ビルドアップ)基板製造企業としてトップグループに位置し、直近は半導体パッケージ基板の拡大にも取り組んでいる。また、ガラスコアなどの先端パッケージや多層FPC事業も強化しており、中国をはじめタイでの増強にも積極的に乗り出している。同社の共同CEOである方志榮氏に今後の事業展開を聞いた。
―― 2025年の総括から伺います。
方 25年の売上高は、前年比12%増の12億7000万ドルを達成した。BMS(バッテリーマネジメントシステム)向けのFPCや、ADAS関連など高信頼性基板の需要が牽引した。また、注力するパッケージ基板では中国を含めた市場の拡大が追い風となった。加えて、AI関連向けにおいても旺盛な受注が寄与した。
売上高に占める構成比では、パッケージ基板部門が全体の29%を占め、最大となった。続いてSLP(サブストレート・ライクPCB)やHDIなどでそれぞれ2割強ずつを占めた。アプリケーション別では、モバイル端末向けが65%、車載が17%、そのほかが18%で、今後は車載向けを強化し、29年までに30%へ引き上げたい。
―― チップオンフレックス(COF)事業にも本格参入しましたね。
方 25年に厦門にあるコンパス・セミコンダクター(XMRC)に40%を出資した。当社の中長期的な業容拡大を目指す。XMRCはCOF業界の大手で、モジュール事業も拡大中だ。当社にとってはCOF領域への本格参入となる。医療用機器などへの用途展開を強化したい。
―― 26年の市場環境についてはどうみていますか。
方 引き続き、EVなどの自動車関連ならびにAI関連向けエッジ端末市場の拡大を見込んでいる。大型のFCBGA基板などの需要拡大にも期待している。26年は売上高で前年比15~20%の成長を目指したい。
―― 今後、注力していく基板製品は何でしょうか。
方 1つはパッケージ基板だ。旗艦工場となる厦門を軸に展開している。敷地19.4万m²の敷地に現在3棟を建設した。将来的には5棟まで建設し、先端パッケージ基板の開発・量産拠点とする。現在100mm角を超える大型FCBGA基板(12-2-12)の生産を始めている。3棟目には製造装置を搬入しており、早ければ26年内にもガラスコア基板の生産に着手したい。
―― FPC事業も拡大中ですね。
方 広州南沙工場を中心に展開している。ここはパッケージ基板を量産する厦門工場と同程度の広大な敷地があり、高密度の多層FPCの生産を検討中で、早ければ27年度以降にも量産を開始したい。VR/XR向けなどの新たなAI関連のエッジ端末が登場する可能性があり、こうした需要拡大に備える。さらに、駆動電源やバッテリーなどに搭載されるパワーバッテリーモジュール向けに、FPCとアセンブリーの一括生産を計画している。
新工場ではロボット搬送や自動倉庫など、スマートファクトリー化を極力推進するとともにトレーサビリティーを強化したい。場合によっては人型ロボットの投入も視野に入れる。自動化が進んだ半導体工場のイメージに近づけたい。
―― タイにも工場投資を行っています。
方 現在のタイ工場は24年末から100人規模で稼働している。FPCや基板実装、HDIが主な製品だ。加えて、27年7~9月期の稼働を目指して新たにアユタヤ地区に新棟を建設中だ。欧米の自動車メーカー向けにBMS向けのFPCや基板実装を中心に行う。長尺FPCの製造やHDIも手がける。
26年は全社で2億~3億ドルの投資を計画する。
―― 研究開発にも力を入れていますね。
方 先端の大型パッケージやガラスコア基板の開発にも鋭意注力している。高周波対応や高放熱対策などにも注意を払っており、年間の研究開発費は売り上げ全体の8%を充当する。特許も会社全体で1000件以上に上っている。
―― 日本市場の開拓は。
方 日本市場は自動車産業をはじめ産業機器などの大きな市場が存在する。国内での認知度の向上に向け、1月にはネプコンにも出展した。社内では日本市場を開拓するための専属組織を立ち上げており、6人の技術系スタッフを配置している。将来的にはさらに増員して日本市場を開拓する。27年早々にはビルドアップ層3~4段の高密度製品も市場投入する。日本市場の売り上げは現在6%前後だが、2~3年以内にまずは10%前後まで引き上げたい。
(聞き手・特別編集委員 野村和広)
本紙2026年3月12日号6面 掲載